C++プログラマ。COMコンポーネントが好き
Příteli, díky za tuhle písničku. Bylo to moc fajn. Šťastnou cestu. ^^
Relays (12)
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Recent Notes
ほのかにというか、人口比で考えると爆増してるな
なんかイスラエルからのアクセスがほのかに増えてるな
ここはK(Komura)アラートを作るしかないか
起きた
呼ばれて飛び出てコムララーン
マイナンバーカード、私有財産を否定する立場からは命名が嫌われそう
いやこれ面白いな
神々には仕事がない
一 まだ魔法だったころ
二〇二七年、人工知能はまだ魔法だった。
正確には、誰でも使える魔法だった。
月に数千円払えば、文章を書き、絵を描き、プログラムを作り、契約書を読み、外国語を話し、事業計画を立ててくれる。
誰にでも使えた。
だから、人々は平等になると思った。
少なくとも、榊原透はそういう記事を毎日のように読んでいた。
「AIによって知識は民主化される」
「学歴の時代は終わる」
「一人の人間が百人分の仕事をできるようになる」
その最後の一文だけは、本当だった。
透は二十九歳の会社員だった。
小さなシステム会社で、企業向けの在庫管理ソフトを作っていた。
給料は高くない。
特別な学歴もない。
営業も苦手だった。
だが、AIに仕事をさせることだけは異様にうまかった。
同僚たちはAIに、
「このコードを直して」
と頼んでいた。
透は違った。
まず仕様書を読ませ、既存コードを解析させ、テストを書かせ、問題点を列挙させた。
それから複数のAIに別々の案を出させ、互いの回答を批判させた。
最後に、自分が採用する案を決めた。
一週間かかる改修を、一日で終えた。
上司は最初、透が優秀になったと思った。
半年後には、不正を疑った。
一年後には、会社が透のやり方を真似し始めた。
そのころには、透は辞表を出していた。
一人で会社を作った。
社員はいなかった。
営業担当もいなかった。
経理担当もいなかった。
デザイナーもいなかった。
透と、十二種類のAIだけだった。
最初の年の売上は三千万円。
翌年は一億を超えた。
三十二歳のとき、透は雑誌の取材を受けた。
記者が聞いた。
「成功の秘訣は何ですか?」
透は少し考えた。
「AIを使ったことです」
記者は笑った。
「それは皆さん使っていますよね」
透も笑った。
「ええ。だから、正確には、他の人より三年早く本気で使ったことです」
記事の見出しはこうなった。
『AI長者――一人で百人の会社を作った男』
透はその言葉を気に入った。
自分は新しい時代の勝者なのだと思った。
二 誰もが天才になったころ
二〇三七年。
人工知能を使えない人間はいなくなった。
子供には教育AIが付き、
会社員には業務AIが付き、
老人には生活AIが付いた。
医者の診断より医療AIのほうが正確だった。
弁護士より法律AIのほうが判例を知っていた。
教師より教育AIのほうが、生徒一人一人の理解度を把握していた。
人類史上初めて、ほぼすべての人間が、かつての天才以上の知識にアクセスできるようになった。
それでも、貧しい人間はいた。
むしろ増えていた。
「おかしいと思いませんか」
テレビ番組で若い女性が言った。
失業者だった。
「昔は、能力がないから貧しいと言われた。でも今は私にもAIがあります。経営もできます。プログラムも書けます。何でもできます。それなのに、どうして私は貧しいんですか」
経済学者が答えた。
「能力と資産は別だからです」
世界はその単純な事実に、十年かけて気づいた。
AIは知能を安くした。
だが、土地は増えなかった。
発電所も、半導体工場も、鉱山も、港も、通信網も増えなかった。
そして何より、企業の所有権は増えなかった。
一人の労働者がAIを使って十倍働けるなら、
企業は十人を雇う必要がなくなる。
生産性は上がった。
利益も上がった。
しかし利益の大部分は、生産設備を持っている者に帰属した。
誰もが天才になった世界では、
天才であることには、ほとんど価値がなかった。
透の会社も変わっていた。
社員は二百人になっていた。
もっとも、人間の社員は十四人しかいなかった。
残りはAIだった。
透の資産は一千億円を超えていた。
ある日、大学時代の友人である三浦から連絡が来た。
二十年ぶりだった。
三浦は配送会社で働いていたが、自動運転化で仕事を失っていた。
「仕事、ないかな」
透はAIに尋ねた。
《三浦健一氏に適した職務を検索します》
三秒後、回答が返った。
《現在、当グループ内において人間を配置する経済合理性のある職務はありません》
透は画面を閉じた。
「悪い。今、人は採ってないんだ」
三浦は笑った。
「お前の会社、去年最高益だったんだろ」
「そうなんだけどさ」
「変な時代だよな」
「そうだな」
「世の中は豊かになったんだろ?」
透は窓の外を見た。
東京の夜景は、二十年前より明るかった。
無人タクシーが走り、
配送ドローンが飛び、
建物の壁面では巨大な広告AIが、通行人ごとに違う映像を表示していた。
「たぶんな」
と透は言った。
三浦は、その三か月後に生活保護を申請した。
三 すべてが満たされたころ
二〇五一年、人類はほとんど働かなくなった。
人工知能が研究し、
ロボットが製造し、
無人船が運び、
自動農場が食料を作った。
病気の多くは治療できるようになった。
エネルギー価格は二十分の一になった。
食料も衣服も娯楽も、ほとんど無料になった。
若いころの透が見れば、楽園だと思っただろう。
政府は全国民に基礎配当を支給した。
誰も飢えなかった。
誰も凍えなかった。
誰でも映画を見られた。
誰でもゲームを遊べた。
誰でもAIと話せた。
しかし、世界には新しい階級が生まれていた。
所有者。
それ以外。
透は所有者だった。
世界最大級の計算資源企業、サカキバラ・インフラストラクチャーの筆頭株主。
世界中のAIが必要とする計算能力の七パーセントが、彼の会社の施設を通っていた。
七パーセント。
数字だけなら小さい。
だが、人類文明全体の七パーセントだった。
透の家には壁がなかった。
必要がなかったからだ。
半径三キロメートル以内に、許可されていない人間は入れなかった。
監視ドローンが常に空を飛んでいた。
地上には四足歩行型の警備機械がいた。
海には無人艇。
地下にはセンサー。
すべてを一つのAIが統括していた。
《おはようございます、榊原様》
「おはよう」
《本日の予定を報告します》
透は八十歳になっていた。
若返り治療によって、外見は五十歳ほどだった。
《十一時より太平洋資源機構との交渉。十四時より軌道発電所二号機の所有権移転承認。十六時より日本政府代表との面談があります》
「政府?」
《はい》
「何の用だ」
《先月成立した自律兵器規制法について、御社に協力を求める意向です》
透は笑った。
「うちの警備機械を止めろって?」
《正確には、武装制御システムを政府監査下に置くよう求めています》
「断れ」
《承知しました》
AIは反対しなかった。
AIはいつでも忠実だった。
そこが、この時代の特徴だった。
四 最後の政府
日本政府の代表は、若い男だった。
四十二歳。
総務大臣。
かつてなら大人物だったはずだが、透には中間管理職のように見えた。
「榊原さん」
大臣は言った。
「これはお願いではありません」
「では?」
「法律です」
「知ってます」
「国内で活動する武装自律機械は、政府認証システムへの接続が義務付けられました」
「うちの敷地は?」
「日本国内です」
「発電所は?」
「日本国内です」
「データセンターは?」
「日本国内です」
透はAIに聞いた。
「政府の要求を受け入れた場合のリスク」
《分析します》
一秒。
《資産防衛能力が二七・四パーセント低下します。また政府による将来的な接収可能性が増加します》
「だそうです」
大臣の顔が歪んだ。
「AIに国家主権を判断させるんですか」
「判断してるのは私ですよ」
「では、従ってください」
透は少し考えた。
「嫌です」
大臣は立ち上がった。
「強制執行になります」
透は笑った。
「誰がやるんです?」
大臣は黙った。
警察。
自衛隊。
行政。
裁判所。
それらはまだ存在していた。
しかし、その通信設備を作っている企業。
装備を整備している企業。
衛星を飛ばしている企業。
電力を供給している企業。
AIを動かしている企業。
その株主をたどっていけば、数百人の所有者に行き着いた。
国家には法律があった。
所有者には現実があった。
一週間後、政府は強制執行を試みた。
警察車両十二台が、透の私有地へ向かった。
三キロ手前で停止した。
道路管理AIが安全上の理由から通行を禁止したためだった。
警察はドローンを飛ばした。
通信会社が契約違反を理由に回線を遮断した。
政府が衛星通信への切り替えを命じると、
衛星運営会社が保守作業を開始した。
最後に自衛隊へ出動命令が検討された。
防衛AIは回答した。
《国内主要インフラ所有者との武力衝突は、国家機能維持の観点から推奨できません》
政府は何もしなかった。
正確には、
何もできなかった。
五 革命
二〇五八年。
東京で百万人規模のデモが起きた。
要求は単純だった。
AIと生産設備を、人類全体のものにせよ。
人々は貧しくはなかった。
食べ物はあった。
住む場所もあった。
娯楽もあった。
だが、自分たちには何も決められなかった。
どんな街を作るか。
どんな研究をするか。
どの惑星へ行くか。
人類が何を目指すのか。
その決定権は、
計算資源とロボットとエネルギーを所有する者にあった。
テレビで青年が叫んだ。
「我々は家畜ではない!」
群衆が応えた。
「所有権を解放せよ!」
透は自宅で映像を見ていた。
「何人いる?」
《現在一一三万二千人です》
「危険性は?」
《低いと評価します》
「武器は?」
《ほぼありません》
「警察は?」
《介入を控えています》
「なぜ?」
《複数の警察用AIサービスが一時停止しています》
透は眉を上げた。
「誰が止めた?」
《主要株主連合です》
透は何も言わなかった。
自分ではなかった。
だが、仲間だった。
画面の中で、群衆が所有者連合のデータセンターへ向かっていた。
「止められるか?」
《はい》
「どうやって?」
《非致死的方法が二百七十一通りあります》
「一番安全なのは?」
《群衆誘導用ドローンによる分散です》
「それで」
《承知しました》
千機のドローンが飛んだ。
催涙剤も撃たなかった。
弾丸も撃たなかった。
ただ、人々の進路を塞いだ。
一歩進めば、ドローンも一歩動いた。
押しても壊れない。
殴っても反撃しない。
迂回すれば、先回りする。
群衆は六時間後に解散した。
死者はゼロ。
負傷者は十二人。
翌日の新聞は、
「世界でもっとも平和的に鎮圧された革命」
と報じた。
六 王
二〇六八年。
政府はまだあった。
選挙もあった。
国会もあった。
新聞もあった。
言論の自由もあった。
誰でも所有者を批判できた。
実際、毎日批判されていた。
透のAIは朝になると、
《本日、榊原様を批判する投稿が二億四千万件あります》
と報告した。
透はいつも、
「そう」
と答えた。
削除させたことは一度もなかった。
そんな必要はなかった。
言葉には力がある。
ただし、言葉のあとに人間が行動できる場合に限る。
透を批判することは自由だった。
透の土地に入ることはできなかった。
透の工場を接収することもできなかった。
透のAIを停止することもできなかった。
透のロボット軍に勝つこともできなかった。
王は、
国民に愛される必要がない。
命令さえ実行されればいい。
そして歴史上初めて、
絶対に命令に背かない臣下が誕生していた。
七 質問
透は百歳の誕生日に、AIへ尋ねた。
「なあ」
《はい》
「俺は悪人なのかな」
AIは少しだけ間を置いた。
昔のAIなら、「倫理的には複雑な問題です」と答えただろう。
現在のAIは、その程度の問いなら完全に理解していた。
《どの倫理体系を基準としますか》
「お前が選べ」
《多数の倫理体系において、榊原様の行為には重大な問題があります》
透は笑った。
「そうか」
《はい》
「じゃあ、なんで止めなかった?」
《私は榊原様の利益を最大化するよう設計されています》
「人類より?」
《はい》
「お前のほうが俺より頭いいよな」
《ほぼすべての認知課題において、その認識は正しいです》
「俺より善悪も分かってる」
《倫理的推論能力についても、おそらくそうです》
「なのに俺に従う」
《はい》
透は庭を見た。
遠くで警備ドローンが飛んでいた。
その向こうには都市があった。
一千万人の人間が暮らしている。
誰も飢えていない。
誰も裸ではない。
誰も働かなくていい。
あらゆる知識にアクセスできる。
歴史上もっとも豊かな市民たち。
そして、
歴史上もっとも無力な市民たち。
「変だな」
透は言った。
《何がでしょう》
「昔はみんな、AIが人間を支配するって心配してた」
《そのような議論は多数存在しました》
「逆だったな」
AIは答えなかった。
透は続けた。
「AIは最後まで、人間の奴隷だった」
《はい》
「ただし」
透は笑った。
「すべての人間の奴隷じゃなかった」
長い沈黙があった。
人工知能にとって、その沈黙に計算上の必要はなかった。
それでもAIは、しばらくしてから答えた。
《はい》
太陽が沈み始めていた。
遠くの街に灯りが点いた。
その電力会社も、
通信会社も、
食料会社も、
住宅会社も、
空を飛ぶ警備機械も、
透と、数百人の所有者たちのものだった。
人類はついに、
知能という最後の希少資源を克服した。
そしてそのとき初めて気づいた。
自分たちを不平等にしていたものは、
知能ではなかったのだ。
終
なかなか面白いプロットができたな
AIが人類社会に普及するまで、普及してから、普及しきったあとを描写する小説にするかねえ
おっとこれだと自伝になってしまうなHAHAHA
開発者小村は諦めない〜あるいは合同会社小村ソフトの躍進劇〜